25年前の私のパン

25年前に初めてニューヨークへ行ったことが今のパン教室に繋がるとは、私の人生の想定外の道でした。エッセイ「ニューヨークのおいしい生活」にもお話しを書いてありますが、それまでパンの存在は、生活の一部という実感もなくお菓子と同じ感覚だったかもしれません。なぜなら、昔、パンはお菓子屋さんが販売していたものでした。メインはお煎餅やキャラメル、ガム。その傍らにパン(菓子パンや食パン)も販売しているという感じ。今のようなパン専門店は身近に、まずありませんでした。
「パンはお菓子屋さんで買うもの」とずーっと思っていたのが、25年前のニューヨークは、パンが凄かった(^O^)/そんな印象でした。ドーナツの形のパン、ぺったんこのパン、紙のように薄いパン等々。そして、美味しかった。日本で味わったことのない美味しさのパンがいっぱいでした。パンが生活の中にどんどん入ってきている感じです。

そして、映画で観たアーミッシュの人達との出会いで、「お家でパンを焼く」という出来事が私のパン焼きのスタートでした。
25年前の私は、ニューヨークでこんなパンを焼いていました。下の写真はたぶんベーグルですね(^^ゞ今からみれば、随分、未熟なパンです。でも、自分で焼いたパンは美味しくて充実感がありましたよ。このパンを焼いていた頃は、原材料のこともまったく知識なく、ましてイースト菌が生き物という実感もなく、とにかく、レシピ通り適当にやるのみ。まして、どこかで教えてもらう、なんてこともなく、膨らんだら焼くとパンができるという認識で焼いていました。だからこんなパンだったんだと今にして思います。次の日は固くなっていましたね(^^ゞ

1991年に帰国してから、ニューヨークのパンが恋しくてね。その頃、私が食べたいパンの作り方を教えてくれる所は、、、皆無でした。だから、自己流、試行錯誤。どれだけの失敗を繰り返したことか(^^)v失敗を繰り返す毎に深みにはまってましたね。そうなると専門書とか読みだしてしまうわけね。これが益々深みにはまってしまって、パン作りが楽しくなくて、美味しくなくて(-"-)、家でパン作りは無理!と感じはじめた時、ふと、ニューヨークで焼いていた楽しいパンの生活を想い出したわけ。深みにはまってその時の事、すっかり忘れてました。そもそも、パンは本がない、温度計もない頃からパンはあるのです。それも古代人がパンを焼いていたものなの。そう気付いた時、自分が別の道にそれていたと感じたわ。

パンの原点はお家で焼く、専門知識も何もいらない。そう思って本を読むのをやめて、自由に感覚で作るようになってから、パンのことがわかって、パン焼きが面白くなって、それで、その楽しさと美味しさを伝えたいと思いました。それが「おいしいパン教室Bread on Bread」のスタートです。教室は17年目に入りました。そして、あの時焼いていた未熟なパンは、こうして、本にもなりました。パン屋さんで修業したことありません。専門学校にも行ってません。ただ、その時、情報がなかったので自分でやるしかなかったの、それだけです。美味しいパンが焼けるまで、すっごく遠回りをしました。だから、Bread on Breadに参加したみんなに少しでも近道を伝えたいのね。

パン作りをいっぱい楽しんで欲しいわ、でも結局、基本がわかったほうが近道ですよ〜。今年も、新しく基本コースがスタートします。スタートが間近です。この機会にどうぞクラスに参加してみませんか(^O^)/

最近、自然酵母のパンがニューヨークの味に近いので、自然酵母も楽しくなっています〜